第57話

亜貴はどうやら行きたい所があるらしく陽向達の元へ行くのはその後だと言われた。


旅館を出て、温泉街とはまた違う雑木林を少しだけ歩く。


そよそよと風が踊るようにして心地よく吹いているこの空間。


「亜貴さん、マジでどこ行くんです」


「ん〜?」


波玖の質問に全く答えにもならない返答を亜貴は返している。


見事なスルースキルである。


「ほら、ここ」


亜貴がそう言って足を止めれば、それに釣られるようにして私も波玖も立ち止まる。



雑木林を少し歩いた先に現れた歴史ある鳥居とその先にある神社。



「へーこんな所に神社なんてあるんすね」


「まぁね」


どうやら初めて来たらしい波玖と、元々知っていたらしい亜貴。 亜貴はこれまた軽い口調で返事をすれば再び足を神社の方へ進めた。


物珍しそうに、鳥居を見上げていた波玖もその後を追う。


亜貴はここで参拝をしたかったのか?



「はい、お参り」


そう言って賽銭箱と鐘の前に3人横並びになれば、参拝をする。

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