第56話
…奴はどうやら分かったらしい。
藍と椿は謎の交信を交わし部屋から出て行いった。
最後に残ったのは、亜貴と波玖と私。
一気に静けさを残したこの空間で、一番最初に口を開いたのは、
「里奈子ちゃん、波玖も外出るぞ〜」
亜貴だった。
ここまで来ても、奴はのらりくらりを貫くらしい。
全ての動作が緩い。
亜貴のその合図に、波玖は従順に素直に従う。
ホワイトブリーチの特別セットもされていない髪と、
真っ白な肌、そして、真っ白なパーカーを羽織る。
どこまでも奴は白。
真夏の暑い日でも、全身白の奴を見れば少しは涼しく感じる気もする。
「早く行くよ」
前髪から覗かせる何色にも映さないその瞳が私を急かす。
そっと、そんな波玖と亜貴の元へ私は足を進めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます