第56話

…奴はどうやら分かったらしい。


藍と椿は謎の交信を交わし部屋から出て行いった。



最後に残ったのは、亜貴と波玖と私。

一気に静けさを残したこの空間で、一番最初に口を開いたのは、


「里奈子ちゃん、波玖も外出るぞ〜」


亜貴だった。



ここまで来ても、奴はのらりくらりを貫くらしい。

全ての動作が緩い。



亜貴のその合図に、波玖は従順に素直に従う。


ホワイトブリーチの特別セットもされていない髪と、

真っ白な肌、そして、真っ白なパーカーを羽織る。



どこまでも奴は白。


真夏の暑い日でも、全身白の奴を見れば少しは涼しく感じる気もする。



「早く行くよ」


前髪から覗かせる何色にも映さないその瞳が私を急かす。


そっと、そんな波玖と亜貴の元へ私は足を進めた。

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