第55話

部屋の中に残る人物は、私を抜かせば、NiGHTSのキングとNO.2、そして亜貴と波玖。


「里奈子」


ダークブラウンのその瞳が私を捉えた。


「なに」


「亜貴と波玖に先に陽向達ん所に連れてってもらえ」


大きなその手が私の頭に乗る。


目の前にいる私より背丈の高い藍を見上げるようにして見れば、藍は少しだけ柔らかく、そして困ったように笑う。


「里奈子、返事をしろ」


「うん」


素直にそう頷けば、満足そうに藍はそのまま私の頭を撫でる。



「椿」


そして、その視線はそのまま入り口付近にいる椿に移動し、なにかを視線で訴えた。



……果たして奴はそれだけで藍の言いたいことが分かるのか。


「あぁ」


そう言えば重い腰をすんなりと上げ立ち上がる。

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