第48話
私も受け取ったソレの内のひとつを口にする。
シュワっと、口の中で溶けていく桃の味。
飴玉とは違う口の中の感覚と甘酸っぱいようなその味に感動を覚える。
「ん」
なんて美味なんだ。
「里奈子ちゃん機嫌良くなったじゃねぇの」
「別に」
「あらま」
ふいっと、顔を逸らす私に、
切れ目の綺麗な濡れボソッた瞳で亜貴は笑う。
「波玖もどうよ」
「いらないっす。甘いのダメなんで」
「里奈子ちゃん以上に素っ気ねぇのな〜おめーも」
聞き捨てならないな、そのセリフは。
ムスッと私は亜貴を睨みつけるが、亜貴はへらりと緩やかに笑うだけ。
その隣ではここにきても雑誌に目を通している波玖がいて、奴は車酔いしないのか心配になる。
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