第47話

ようやく椿の手から離れたと思ったら、


つんつん、と今度は後ろから私の頬を指で突ついてくる奴が1名。


「里奈子ちゃん里奈子ちゃん」


纏う空気も緩ければ奴の藍色のウェーブかかる髪も緩い


にこりと笑っている亜貴は、今日も相変わらず学生には見えない。



「これあげる」


はらりと私の手の中に落としてきたのは、


桃色、空色、緑色、


その他様々な色づいたソレ。


「これ、なに」


「ラムネだよお姉さん」


またツンと私の頬をつつく。


口元にあるホクロが奴のその色っぽさを加速している。

緩やかに奴は笑い、ペロリと紅い舌を露わにする。



暫くは車内から出れそうにもない今は煙草を吸うのを我慢しているらしい亜貴は、口が寂しいらしく空色のラムネというやつを口にしている。

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