第37話
それから数十分して、
「おい、リナ。帰るぞ」
行きより心做しか疲労感どっぷり浸かったような表情と雰囲気を漂わせ戻ってきた愁。
漆黒の後ろへ流した髪が少しだけ乱れている。
「思う存分遊んでもらったか」
愁のその状態をニヤニヤしながら響は揶揄う。
それを愁は、綺麗な顔を困った顔に崩して
「遊んでやったんすよ」 と少しだけ反論する。
いつまでも、愁は響の上には立てないようだ。
帰ろう。
今日はいつもより長居しすぎた。
私は、花壇の前にしゃがみ込んでいた身体を起こす。
少しだけ乱れた愁のその漆黒の髪をそっと直してあげる。
「やけに優しいじゃねぇか、リナ。どうした、響さんになんか言われたか」
「む」
何て奴だ。
「妹の優しさを疑うのかよ」
やれやれと首を振りながら響は苦笑いしつつ、私の頭を甲斐甲斐しく撫でた。
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