第36話

「ちゃんと花言葉っつーもんもあるらしいぞ」


ぐしゃ、と地面に煙草を押し付け、

響は私の隣にしゃがみ込む。



「こいつが、希望」


白く咲く花のサンザシの花言葉 [希望]


「で、こっちが」


響の声が少しだけ寂しげに変わる。



「悪を遠ざける」


黄色く咲くサントリナの花言葉 [悪を遠ざける]



なんとも、シロらしい花の選択だ。



門のその先のその存在に対するシロの思いが十分に伝わってくる。



「綺麗」


「そうだな」


どうか枯れないで欲しい。


守ってあげて欲しい。


キュッと私は目を閉じ、そんな無謀なような願いを心の中でそう唱える。

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