第35話
響、花の名前が分かるのか。
花とは無縁そうな顔してるくせにだ。
目を丸くして私は響を見る。
「いや違う。この前シロが持って来てくれたんだよ。アイツ花に詳しいんだと」
瞳の奥に、シロの姿が浮かぶ。
上品なこの花たちをシロが持ってきたのは納得ができた。
海外文学や花といった気品さ溢れるものがシロは似合っている。
「初夏からこの時期に一番綺麗に咲くらしい」
木漏れ日の光に照らされて、サラサラと吹く風がとても心地よいと言わんばかりにこの花たちは揺れている。
「シロ」
最近顔を見ていない、日本人離れした端正な顔立ちの男の名前を呟く。
シロは、こうして私や愁とは別にひとりでここへ足を運ぶのだ。
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