037.
第21話
『りなちゃん、今日は来ないの?』
電話越しで、尻尾をしゅんと項垂れてる陽向が想像出来る。
『行かない』
『なんでなんで?』
なんでって…
土曜日の午後。
陽向から掛かってきた電話になんとなく出てみれば、溜まり場へ来ないのがどうやらご不満の様子。
『用事ある』
『そっかぁ〜会いたかったなぁ』
『む』
『あ、照れた?りなちゃん、可愛いーね』
どうにもこうにも電話越しでも奴はからかうつもりらしい。
『…切る』
不貞腐れたかのように私は陽向からの電話を切ろうとした時、
『わ、ちょ、藍ちゃん?!…『こらまて』』
なにやら電話越しで陽向の驚いた声が聞こえたあと、奴のテノールボイスが聞こえてきた。
『藍、なに』
とんとん、電話してる私の背中を叩く奴。
耳元に携帯を当てがったまま、振り返れば、
「なにやってんだ、もう行くぞ」
少しだけ声のトーンを下げて私を呼びに来た愁がいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます