037.

第21話

『りなちゃん、今日は来ないの?』


電話越しで、尻尾をしゅんと項垂れてる陽向が想像出来る。


『行かない』


『なんでなんで?』


なんでって…



土曜日の午後。


陽向から掛かってきた電話になんとなく出てみれば、溜まり場へ来ないのがどうやらご不満の様子。


『用事ある』


『そっかぁ〜会いたかったなぁ』


『む』


『あ、照れた?りなちゃん、可愛いーね』


どうにもこうにも電話越しでも奴はからかうつもりらしい。


『…切る』


不貞腐れたかのように私は陽向からの電話を切ろうとした時、



『わ、ちょ、藍ちゃん?!…『こらまて』』


なにやら電話越しで陽向の驚いた声が聞こえたあと、奴のテノールボイスが聞こえてきた。


『藍、なに』


とんとん、電話してる私の背中を叩く奴。


耳元に携帯を当てがったまま、振り返れば、


「なにやってんだ、もう行くぞ」


少しだけ声のトーンを下げて私を呼びに来た愁がいた。

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