第18話

溜まり場のいつもの部屋へ戻れば、


そこには先程までいなかった陽向が唸っていた。



「うー…」


「邪魔なんすけど」


ガラステーブルに両肘をつきなにか辛そうな陽向に、げしげしと足蹴りする波玖は先輩にも容赦ない。



「ハクちゃんー、俺もう疲れた」


バタり。


陽向が崩れ落ちるように力尽きたらしい。


そんな光景を私は、はて、と首を傾げ見る。


どうやら陽向は、補講、というものを受けてきたらしい。



つい先日、2期のテストが終わったばかりだ。

そのテストにぎりぎり合格ラインに達しなかった陽向は、夏休み前の補講に強制参加させられていた、らしい。

ぎりぎりだった為、それだけで免除され夏休み返上の補講とはならなかったみたいだが。


そんなに、疲れたのか。


2期のテスト前も、相変わらず熱心に勉強に励んでいた気もしなくもないが。


「陽向」


そっと、しゃがみこみ陽向の肩を叩く。


「待ちな」


グイッと突然波玖に腕を持たれ立ち上がった。


突然のストップになんだと言う代わりに私は奴を睨む。


そんな睨みもさらりと交わされ、


「しゃがむと見えるよ」


「なにが」


「スカートん中。見せたいなら別だけど」


そう言えば波玖は私の腕を離しふいっといつものパソコンの前に座った。

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