第17話

そうやってシラを切れば、波玖はクックッ、と楽しそうに喉を鳴らす。


「いいね、そーゆうの面白い」


と。


「まぁその女なんて俺には関係ない話だけど」


じゃあ、言うな、聞くな。



藍や亜貴以上にこの男は掴みどころがない奴だ。


よく分からん波玖を眺めていれば、

また、白くて華奢なその手を私に差し出してくれる。



「帰るよ。アイス溶ける」



奴が差し出してくれた手を私は握り返した。


口悪いし素っ気ないけど、まぁでもそーゆうところは優しい。


それでも、


奴の手はやっぱり冷たかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る