第16話

溜まり場まであと少しだ。


早く帰らないとアイスが溶ける。


「なぁあともうひとつ聞きたいんだけど」


器用に飴玉の小包を開ければ、綺麗なその口を開き飴玉を放り込む波玖。


「なに」


まだなんかあんの。


コロコロと口の中で飴玉を転がしながら、波玖は小さくそっとその言葉を口にする。




「いつから気づいてたの、奈々のこと」


誰から聞いた、とは言わない波玖。




奈々。


忘れかけていたその名前。



藍達の秘密。



本物のお姫様。




私が知ってるのなんてゼロに等しいけど。



「さぁ、知らないけど」


私はわざとらしく首を傾げる。

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