第14話

「可哀想、辛かったねって言わないんだ」


「そんな同情は陽向に失礼だ」


今、陽向が楽しく笑って生きている。

藍達の傍に生きている、


それが出来ているのは陽向が頑張ったからで、

可哀想や辛かったで片付けるものでは無い。


その結果を褒めてやらなければ。




「ふーん。アンタってよくわかんね」


「どうでもいい」


聞いといてそれか。




「俺は、陽向さんはすげぇって思うよ。俺は無理、出来なかった」


あ、また。



その瞳は、更に深くて灰色になってる。



「波玖、」


奴はなにが寂しいんだろうか。


この世の全てをつまらないというその表情は、出会ってからずっと変わることは無い。

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