036.

第11話

再び、来た道を戻ろうと波玖と歩いていれば、




ーーー〜ガシャンっ!


「〜〜…ってんだよ!」

「逃げてんじゃねぇぞ!」


物騒なけたたましい音と怒鳴り声が近くで聞こえてきた。



チラッと波玖の方を見れば至って普通。


どうって事ないようなそんな表情だ。


美人で造られたような波玖の顔は、藍の次に無表情を作り込むのが上手い。





暫くすればその喧騒も消え、少し離れた所のビルの建物の裏から、数人の男たちが出てくる。


目を凝らしてじっとそいつらを見ていれば、


その中の一人に少しだけ見たことある人物がいた。



[あれ、おねーさん、お話出来る?]


[やだな、俺は見張り役だよ。ここまで連れてきたのは俺じゃねーし]


[ミヤビ。起きた、この女]



ダウトに連れ去られたあの闇夜の中で、ミヤビの命令を受けたと言っていたあの男。


黒のパーカーにフードを深く被り込み顔を一切見せなかった男だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る