第10話
私は満足気に頷いて、そこから2箱持ち出した。
レジに持って行く前に、私は握り締めていた椿から渡されたお金を波玖へ無理やり握らせた。
「なに。アンタ、これじゃ買えないよ」
「自分で買う。それ椿に返しておいて」
私からじゃ受け取ってくれないのは分かってるから、波玖に頼んでる。
そんな私に波玖は、片手を額に置きはぁとため息1つ零せば、そのまま私の持っていた箱のアイスを奪い取りレジへ持って行った。
椿からのお金はそのまま奴の手に、
そして、波玖は自分のお金で会計をした。
「ほら。これでいいでしょ」
「自分で買うっつった」
「可愛くない女」
言えば言った分だけ奴から言葉が返ってくる。
ふいっと波玖から顔を背け、私はスタスタと先を歩き始めた。
「波玖、ありがと」
顔も見ずに、歩きながら、
買ってもらったアイスに対してそう礼を告げる。
偶には、こうして波玖と歩くのも悪くないだろう。
「はいはい」
先を歩いてる私からは波玖の顔は見えないけど、その言葉は少しだけ素っ気なさは薄らいでるように聞こえた。
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