第9話

こんな暑い日だ。


どうせなら、椿にも買っていってやろう。


あとは藍達にも。


隣でボーッとしている波玖の制服の裾をつんつんと摘む。


「ねぇ、波玖。波玖はなにがいい」


「なにが」


「アイス。藍たちにも買ってく」


そう言えば、


「別に俺いらない」


あっさりそう言われた。


…波玖はアイス嫌いなのか


「じゃあ何がいいの」


「別になんも。ほら、なら箱のやつでもいいんじゃない」


白い華奢な人差し指を向けられたのは、箱のアイス。


確かに、これならみんなで食べられる。

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