第83話

「やっぱり、形から入らないとモチベーション上がらないじゃんね〜!」


りなちゃんも食べるー?

そう言って陽向は私に飴玉を差し出してくれる。


ココ最近、会えば陽向は私にくれる。



「う、ん」


小さく頷き、私はそっと奴の手の上にのっかっているソレを受け取ろうとする。



…が、何故かそれは空をきって、



その飴玉は、ちょうど今来たばかりの奴の手の中に。



ムスッと私は不機嫌に口をへの字にして、振り返る。


座っている私と、立っている奴。


そのせいで私は自然と上から奴を見上げることになる。


「何すんの」


「不貞腐れんぼの里奈子ちゃん、その顔そそるね」


この時間帯から登校は珍しい。


相変わらずな亜貴のその色気は健在だ。

そして相変わらず、緩いダラケた喋り方も健在だ。

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