第82話

「…どうしたの、陽向」


「りなちゃん、気づいてくれた?!」



気づくだろう。


ガっと勢い良く私の方へ身を乗り出しパァァと花を咲かせるように笑顔になる陽向。


「視力悪いんだ」



今日の陽向はいつもと違かった。


その飴玉のような大きな目には黒縁のメガネが付け加えられていた。


ガタン、と崩れ落ちるようにわざとらしく奴は反応する。



「も〜違うよりなちゃん」



やれやれと言わんばかりに奴は呆れたように零す。


…視力悪くないならなんで眼鏡をする。



「これね、伊達なんだ〜」


陽向の言いたいことがよく分からず私は首を傾ける。

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