第65話
「…さっきお前に手を出そうとしてた集団はダウトだ」
目を閉じたまま綺麗に縁取られた唇をそっと開くのはここのキングである藍だった。
「どんな目的かは知らねぇが、紛れ込んでたんだろうな」
「ちょっと分からないんだけど」
不十分すぎる藍の説明に、補足するかのように次に話し始めるのは慧二郎さん。
「ダウトってチームはの、好き放題暴れ回る無法地帯の暴走族。昔からそことは冷戦状態を貫いてたんじゃが、最近また動き始めとるじゃき。
憶測やけど、情報でも貰いたかったんやろうな。
NiGHTSの幹部陣も通ってて尚且つほかチームも大勢いる蘭高に紛れ込む方が、
NiGHTSのチームに紛れ込むよりリスクが少ないから良かったんじゃなかろうか。」
ちょうどそんな時に、奴らに出くわしたのが私か。
最悪なタイミングで。
「あいつら、お前が俺の女だって思ってるぞ」
フラフラ揺れ浮かぶ煙草の煙の奥で、椿は少しだけ華を添えるように妖しく笑う。
「それはアンタが勝手な事するからでしょ」
ムスッと私は不貞腐れたように、椿とのキスを思い出す。
「俺じゃないなら誰の女だって思われたかったのかよ」
そーゆう問題じゃない。
誰の女とも思われたくない。
この男との会話はペースが乱れて疲れそうになる。
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