第62話

「シノハラさん元気〜?」

ヒラヒラ手を振り愛想笑いする富浦亜貴…亜貴のその質問には思いっきりシカトし、私は亜貴の元まで向かう。



ポタポタ、と髪から滴り落ちるその水分と蒸気してほんのり赤みを帯びている顔が妙にこの妖艶な色っぽさに色付けさせている。



こんな胡散臭い笑みさえなければ、あんたの色気は極上なのに。



「ピアス、持ってんでしょ」


奴の前で手の平をだし、さっさと返せと促す。



「あ、気づいてた?」


「早く」


「ほら耳貸して、返すから」



…めんどくさい


キュッと口元を結いキッと亜貴を睨みつけるが、


「女がんな顔するんじゃありません」


そうやって流された。



なんであんたにそう言われなければならないんだ。

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