第61話

流石にNO.2が呼び捨てにせずさん付けしている手前、私もさん付けで呼ぶしかない。



慧二郎さんは、もうひとつの1人掛けソファにゆっくりと腰を下ろす。



それに気にすることなく、椿はここに来て2本目の煙草を吸い始め、藍は相変わらず目を閉じたまま。



帰っていいだろうか。




「あれ、案外連れてこられるの早かったみたいだね」


あ。


この声、今日私が一番用のあった男の持ち主。


入口の扉に身体を預けながら立っている昨日ぶりの富浦亜貴。


シャワー上がりの後なのか、こいつの髪は濡れている。肩にタオルを引っ掛け、制服ではない私服姿での登場だ。



つまり、こいつ学校にはいなかったってことがわかる。

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