第54話

「キング、」


説明して、

の意味を込めて五十嵐藍を呼ぶが


「だから、キングは違ぇ。藍だ」



「ふはっ」


゛キング゛というワードに吹き出す椿は無視。


「…藍」



ここは素直にそう言い直せば、


ふっと、藍の無表情から少し笑みが咲く。


なんとも綺麗に笑みを浮かべる男だな。


「ん。そーゆうことだ」


ポンポンと2回私の頭を優しく撫でるキング、じゃなくて藍は車から降りる。


「里奈子、お前も降りろ」


既に車から降りていた椿は、まだ車内に残る私にそう言った。





……もう、ここまでくれば諦めに近い。



こんなのただの気まぐれだけど、今日1日だけこいつらに付き合うしかない。

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