第49話

「ふぁぁ」

気の抜けた欠伸が後ろから聞こえる。


キング…五十嵐藍と共に後ろを振り向けば、眠そうに、怠そうに立っている失礼極まりない変態男。


目に浮かべた涙を細長い人差し指で掬い取りつつ、目線はこちらに向けている。



「なに。俺も自己紹介しろってか」


別に必要ない。

しなくて結構。


「どうでもいい」


あんたの名前知ってるし。


顔ごとNO.2から逸らしていたが、ふと暗い影が落ちる。


……またなにする気だ。



あろう事か、NO.2は私の顔を掬い上げ顔を近づける。



「おい、椿」


五十嵐藍の窘める声も届いていない様子。



「…下手なことしたらあんたのこと殴り飛ばすけど」


2度目はない。


そんな意味を込めて、変態男…NO.2を睨みあげる。

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