05.

第39話

次の日、私が起きた時刻は午前10時過ぎた時だった。

自然と漏れる欠伸を噛み締めながら私はリビングへ向かう。


そういえば。昨日愁泊まりに来てたんだっけ。

朝にシロが迎えに来るつってたけど。

まだいるのか分からない愁を確認するが、昨日寝ていた愁の存在はなかった。ソファの上に綺麗に畳んであるタオルケットが置いてある。



仕事に行ったか。



私もとりあえず遅刻ではあるが学校に行かなければならない。

……面倒だが。


顔洗い歯を磨いて制服に身を包む。

まだ着慣れない見慣れない自分の制服姿。


鏡の前に立ちふとあることに気づく。



そっと耳を触れ確認する。

……付けていたピアスがない。


どこかに落としたか、

いや、そんな落とすような出来事はなかった。寝てる時に取れた可能性は低い。



「あの時…」

富浦亜貴と放課後に学校の玄関で話した時だ。

アイツ、最後少し耳触ってた気がする。


今日はまず奴を探し出してピアスを返してもらう所からだ。



気が重たくなるが、私はマンションを出る。



昨日はシロが車で送ってくれたが今日からは歩きで行かなければならない。


学校に近づくにつれてちらほら多くなる生徒の数。


昨日と同様またしてもどこからともなく声がかかる。

…よく飽きないな。


ただ昨日と違うのは


ーー「ほら、あの子」

ーー「昨日亜貴に構ってもらってたっていう…」

ーー「やだ。超美人じゃない」


男より女の声が目立って聞こえてくることだ。


あの男、見てくれは文句なしのモデル級の容姿だから女に人気なのか。



めんどくさいことしてくれたなあの男。


ただ、今は恐らく私のピアスを所持しているであろう奴に用はある。

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