第37話
愁はついて早々シャワーヘ直行しにいった。
タオルと部屋着を浴室の所へ用意し、その足で私はキッチンへと向かう。
スーパーのレジ袋の中にある食材から見るに和食を作れってことか。
料理はそんな得意でもないが、仕事に疲れてる筈なのにこうやって私の所へ来てくれる愁の為だ。
奴には決して口が裂けても言わないが。
ササッとできる簡単な料理を何品か作りリビングのテーブルへ並べる頃には愁もシャワーから出てきた。
カウンターキッチンの前に愁と向き合いながら夕食をとる。
愁も私もそこまでおしゃべりな方ではないも、愁は「ん。上手い」この言葉だけは欠かさずに伝えてくれる。
人からそう言って貰えるのも悪くはない。
嫌な人はいないだろう。
そこそこ食べ終える頃に、愁は手に持っていた箸を置く。
「今日会いに行っんだろ」
その言葉に私も口に運んでいた箸の動きを止める。
髪色と同様漆黒の瞳が私を捉える。
口をもぐもぐと動かしながら私は静かに頷く。
「ずりーな。俺にも見せろ」
あぁ、あれね。
この話になると愁はある意味でバカになる。
私はソファに放り投げてた鞄の中から小さな茶封筒を取り出し愁へ渡す。
僅かに愁の顔が優しく綻ぶ。こーゆう顔をする愁は滅多に見ることは出来ない。プライベート中の今だから見られる姿だ。
食べ終えた食器類を早めに片し私もシャワーしに浴室へ向かう。
シャワー終え、リビングへ戻るとまだ愁はソファに横にりながら茶封筒の中身を見ている。
毎度の事だがアホだ。
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