第35話

「どうだ、学校は。青春謳歌できそうなのかよ」

「別に」

「お前、相変わらず素っ気ないな」

私は後部座席のど真ん中に座り、腕と足を組みながら愁を睨む。

絶対愁は、この歳で高校生始めた私をバカにしてるな。



「愁さん、からかいすぎですよ」

ふわりと柔らかい声が運転席から聞こえてくる。

私と愁の間に入るのは、朝と同様運転を任せられているシロ。

「シロはリナには甘ぇんだよな」

「十分愁さんにも甘くしているはずです。あ、リナさんおかえりなさい」

愁の言葉も巧みに交わしつつ宥め、私にふわりと笑みを零し挨拶してくれるシロは流石だ。


この2人がセットって事は仕事中かと思ったが、シロが愁のことを゛愁さん゛呼びしているからそうではないんだろう。


相変わらずの安全運転のシロは、そのまま学校近くに借りている私のマンションまで向かってくれる。



「着きましたよ」

マンションの地下駐車場の一角に車が止まる。

引っ越してきて1ヶ月。

このマンションを選んで手続きから何までしてくれたのは愁。

この辺で一番の高級マンションと呼ばれてるが、別に普通の所で良かったのに。

ただ、愁曰くセキュリティの問題だとかなんとかで断固としてこのマンションから譲らなかった。


面倒臭がりな私に代わって世話してくれたのは有難いから仕方ない。

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