第18話
はァ…俺、絶対あーちゃんには口でも勝てないや。
シュンっと俺は肩を落とす。
女に厳しいのはあーちゃんだけじゃないけど。
俺の周りみんな、゛あの子゛以外の女には厳しい。
俺はー…俺は、女が苦手なだけで゛あの子゛以外は興味ないや。
もう、アレから時間は経つのに。
自分の鼻腔にはまだ甘くて心地の良い匂いが残ってるような気がする。
あーちゃんもだけど、みんな…みんな、なんか怖い。
けど、それぐらいの存在が消えたのは確かなんだ。
あーあ。
春は出会いと別れの季節だなんて言うけどさー
ホントなんだろうなぁ。
だったら、俺は春は大嫌いだ。
「おい、ひな。口がへの字になってる」
ちょんと俺の唇にあーちゃんの人差し指が触れる。
あーちゃんって性別構わず触り癖あるよね。
「あーちゃん、これ終わったら屋上だったよね」
「藍がそう言ってたからねぇ」
「塩崎ちゃんの時にサボられると俺まで怒られるんだからね」
昨日だってそうだったんだから。
俺とあーちゃんの担任は、俺たちの大先輩。
つまりは、頭上がんないんだ。
この学校の大半がそうなんだけどさ。
昨日の塩崎ちゃんの怒りを思い出してぶるっと身震いしてれば、ガラッと勢い良く教室の扉が開く。
俺たちの大先輩。
担任の塩崎ちゃんだ。
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