02.

第8話

「篠原、親の転勤でこんな時期にこんな学校に編入なんて大変だったなぁ」

「いえ、まぁ…」

「まぁ、あれだ。残り2年間はこんな学校だけど楽しめよー」

……゛こんな学校゛と2回も繰り返し言うこのおじさんは仮にもここの教員だ。

ふぅ、と私は本日2度目のため息を零す。



あれから。

シロに見送られ、私は30分ほど遅れて校舎内へ入ることが出来た。

校舎内に入り、目立つところに掲げられた校内図で゛職員室゛の場所を確認しどうにか辿り着くことが出来た。



そして、今。

私の目の前で年季の入った椅子をギィと音を立て座ったまま話しかけるのは、どうやら私の担任となる人、らしい。



「ここまで来るのに、気づいてると思うが、ちょっとばかしヤンチャな奴らがこの学校は多くてなー」


たしかに。この教師の言う通り、この職員室に辿り着くまでに、気になっていた。


校舎の外観も校舎内もそこそこ綺麗でどこにでもあるような普通な学校には見えるが、

いわゆる、゛普通゛の゛指定の制服゛を着た生徒は少なかった。

男女比率でいえば、7対3。圧倒的に男が多い。

そして、廊下ですれ違う男も女も、みんな派手な髪色や身なりだった。

そして、指定の制服をまともに着ている人をまだ見ていない。


だからこそ、この教師の言いたいことはわかる。


まぁ、俗に言う、


゛不良校゛


なんだろう。

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