第6話
「そうですか。でも、似合ってますよ」
そんなことを恥ずかしげもなく言えるのはシロの得意分野だ。
「この制服、どこのなの」
なんと返せばいいか分からないシロの言葉にはシカトし、この制服に身を包んだ瞬間から思ってた疑問を口にする。
すると、少しだけ驚いたように、かつ呆れたように
「…パンフレット、渡したでしょう」
そう返ってくる。
…パンフレット…
そう言えば、昨日アイツがマンションまで来た時に置いてって気も…しなくもない。
開くのが面倒でそのままにしてあるが。
「リナさんがこれから通うのは、英蘭高校です。
地元では、蘭校と呼ばれているみたいですが」
蘭校と語尾を強めにして言うシロ。
気づけば、すっかり景色は街の中だ。
車を走らせて数十分はたったであろう。
そんなことよりも。
シロが言うには、あと少しで到着予定のその蘭校には、全日制と定時制があるらしく、
私はそのうちの全日制へ不正編入という形で通うことになるらしい。
まぁ、あの家なら出来ることだろうけど。
「ただ、ひとつだけ…」
「どうしたの」
ひとつだけ…、と少しだか言葉を濁すシロを怪訝な表情で私は見やる。
ふと、徐々に派手な髪型のガラ悪い奴らが車の中から多く見えてくるのに気づく。
……………学生なのか
そう疑問に感じた時は、
シロが、ゆっくりとブレーキを踏み込むのと同時だった。
「定時制には気をつけて下さいね」
まるで、関わるなと言いたげに私を見るシロ。
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