第34話

“後悔しとうない”



あの日の詩歌と同じ瞳で同じ台詞を言った千里は



俺達がとめるのも一切聞かず、結局脱退して地元に帰っていった




誰も見送らなかった



ベースの代わりのメンバーは…代理ですませた



事務所からは新メンバーを入れようと何度も言われた


だけど、ずっと一緒にやってきた仲間だった



「水本さん…すみません。わがままばかり言って」



水本さんは俺達のマネージャーになっていた



「いえ、君たちがやりやすいようにするのが一番ですからね?」


相変わらずの話し方に相変わらずビシッとしたスーツを着こなしている


もしかしたら変わっていないのはこの人だけなのかもしれないな

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