第3話

「…おい!千里」


「なん?」


すでにかなり興奮している千里の首根っこを捕まえて引き寄せて、声を潜める


「…この名刺、ホンマもんじゃろうか」


けっこう疑り深い俺



そこに書かれている芸能事務所の名前は、その業界に憧れる者なら一度は耳にしたことがある名前


確かに、千里が3ヶ月前に俺達に黙って勝手にデモテープを送った




「…わからん。じゃけどホンモノじゃったらスゲーよなっ」


チッ、こりゃダメだ…。もうすでに瞳バッチバチにキラキラさせてるし



そんな俺達の会話が聞こえたのかどうかはわからないけれど


「もちろん、本物ですよ?」


その男は初めて口の端を少し上げて笑った

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