第92話
拓実君が近づくからアタシは少し隣にずれた。
「みおチャン?」
「た、拓実君近いっ……」
そう言うと彼は不思議そうな顔をする。
「だって近づかないと食べられないんだけど。」
それはそうなんだけどっ。
「わっ!?」
拓実君はフォークを持っているアタシの腕を掴むとそのまま自分の口にケーキをはこんだ。
「ん……悪くない味だね。」
そんな満足そうに微笑む彼にアタシの心臓はうるさいくらい動悸がしていた。
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