第66話

後ろで拓実君がドアを閉める音がする。


アタシはそのまま部屋に入った。



「みおチャン、」



「こんなトコに居ていいの?」



「え?」



アタシはテーブルにバッグを置いた



「…恭子の所に行けばいいのに。」



アタシは心にもないことを口に出してしまう。



「どうして恭子が出て来るの?昨日会ったから連日会ったりしないよ、彼女でもないのに。」



拓実君はアタシと少し距離を置いて立っていた。




「帰した事怒ってる?」



アタシはソファーに座る。



「拓実君、」



呼ぶと彼はアタシに近づいた。




「アタシ……、」



言葉が出て来ない。



アタシは何を言おうとしてるの?




「朝生と寝ちゃった?」





拓実君の言葉にアタシの身体は強張ってしまった。

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