第63話

自分のマンションにさえ帰るのが嫌だった。


帰るときっと夕べの出来事が今よりも鮮明に蘇るから。


だけどチカを嫌いにもなれない、ただ…もうチカとは以前の様な関係には戻らないと心に決めていた。


アタシはショッピングモールで時間を潰し、結局19時過ぎに帰宅した。


すると、玄関先に拓実君がいた。


アタシの気配に彼はこちらを向く。


「みおチャン、俺何回か携帯鳴らしたんだけど?」



「……知ってる。」



そう言うと拓実君は薄く笑う。



「ああ、俺は避けられてたんだね。」




アタシは返事をしなかった。

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