第53話

「電話終わった?」



「あ……うん。」



アタシと拓実君のあいだに変な“間”ができる。


拓実君はドアにもたれていた。


どうしたらいいんだろう、


そう思っていた時、拓実君が口を開く。



「みおチャン、さっき俺も恭子に呼ばれちゃって。」



「え……恭子?」



「そう、なんか相談があるんだって。だから……送って行く。」



あ……そうなんだ。



アタシはなんだか気が抜けた感じとモヤモヤした感情が一気に押し寄せてくる。



拓実君はアタシより恭子を優先した。



その現実がさっきまで近かった彼との時間が嘘みたいに思えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る