第54話
―――――……
「遅い!」
チカはアタシの顔を見るなりそう言った。
「アタシにも用事ってもんがあるの。」
アタシは部屋の鍵を解除してドアを開けた。
「一体どれだけ外で待たせるんだよー、腰痛い。」
チカは文句を言いながら部屋に入った。
背伸びをしてアタシの方を振り向くと、
「早瀬と会ってたの?」
「えっ!?」
アタシは動揺を隠し切れなくて声のトーンが上がってしまった。
アタシの顔を見てチカは呆れたような表情をする。
「……何やってんだよ、お前は遊ばれてるだけなんだよ。」
チカの言葉が今のアタシには傷つく。
拓実君は……今頃恭子と会ってるから。
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