第50話

「え……?」


拓実君の言葉にアタシが反応した時、自分の携帯が鳴る。



「……ほら、朝生からじゃない?」



「まさか、」



アタシはバッグから携帯を取り出す。


ディスプレイはチカが表示されていた。


アタシはそれを見つめたままだった。



「出たら?」



拓実君はそう言ってアタシから離れる。


思わずアタシは彼を見た。


拓実君は困ったように笑ってアタシから視線を落とした。



拓実君の心がいまひとつ掴めない。




アタシは通話ボタンを押した。

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