偽物のふたり。

第35話

アタシは一階のエントランスで待たされていた。


数分して滝川君がエレベーターからアタシの荷物を持っておりてきた。



「君の部長に診断書渡して早退許可もらってきたから。」



は?



「ちなみに・・・アタシの病名は?」



「不整脈。」



不整脈?なんだそれは。



アタシ達は会社のビルから外に出た。



まだこんな明るい時間に会社を出るのは久しかった。



滝川君は躊躇いもなく歩く。


「あの・・何処に行くの?」



彼はちらっとアタシを見る。



「話をするんだ。酒を飲ませたら君は以前のように眠ってしまうからね、俺のマンションに帰る。」



・・・うそだ。

そんな事言ってまた・・・



「やだ・・・。」



アタシは足を止める。


これ以上この人と関わりたくない!

アタシは滝川君を睨む、


彼もそれで表情を変える。



「その次を言ってみて、それが俺達のズレの原因だから。」

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