第3話

超一般人なアイドルオタク 日向 燐は、超人気アイドルグループ Cosmo quartettoの秘密を知ってしまったことから、何故かバックダンサーに任命された…。


「自分の人生に、こんな事が起きるなんて…信じられない…。」


歌もダンスも未経験の僕が。


「…日向 燐くん、だったわね。私達のダンスって踊れたりする?」


ノインが燐の顔をじっと見つめる。


「は、はい!!Blu-rayのプロモーションビデオ持ってて、観ながら踊った事は…あります。」


精一杯のアピールは、するものの燐の語尾が次第に弱まる。

「ダンス未経験の初心者ですが…。」


秘密の為とはいえ、本当に同じステージに立って良いのだろうか?そんな気持ちで俯いていたら…。


「燐くんって、面白いね!!自信あるのかと思ったら俯いてるし、短時間でコロコロ表情変わってるよ!」


ルーナが、ケタケタ笑う。


『何か、恥ずかしくなってきた…。』


燐の気持ちを察したのか、ルーナが話題を変えた。


「ごめんごめん!一応、ダンス踊ってみてくれないかな?」


「はい…!」


燐は、ダンス練習室に案内され、呼吸を整える。


『憧れのアイドルが目の前で見ている…全身が心臓になったみたいだ…。本人が見てくれるなんて滅多にない!…楽しもう!』


Cosmo quartettoの代表曲が流れ始めた。


燐は、ダイナミックにステップを踏み、踊り始める。


「…何か、さっきまでと空気感が変わった。」


「うん…!荒削りだけど、光る物を持ってる…!」


「本人、気付いてないみたいだけど、楽しそうに歌ってるし…!!」


気付いたら、燐は最後まで踊っていた。


『何だか、あっという間だった気がする…。』


音楽が止まった。


「合格。これから、宜しくね。それと…これ、念の為、渡しておくわ。」


ノインから手渡されたのは、魔物探知機付きのペンダントだった。

「何かあっても、これで教えて欲しいの。」


「はい…!ありがとうございます!宜しくお願いします…!」


理由はともあれ、大好きな人達に認められた事が嬉しかった燐。


そのペンダントの反応があったのは、それから直ぐ後の事だった。

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