第54話

先輩、いまは辛いです。


優しくされたら辛いです。


一緒にいるの、辛いです。


さっきの先輩の涙を思い出してしまいます。


わたしにはなにもできないって、わかっているから余計に、辛い。


先輩の横顔はさっきの涙が嘘のように、いつもの、わたしが大好きな優しくて爽やかでみんなを引っ張っていく、誰からも好かれている先輩で


でも、みんなの知ってるその表情を作るためにどれくらいの想いを我慢しているんだろうか、と


胸が軋んだ。

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