第53話

「未来、家どっち?もう暗いから送るよ」


先輩が唐突にそんなことを言い始めた。


「へ?……えっ!?い、いや、いいです!!大丈夫です!!わたし、自転車ですし!!」


いや!もちろん、嬉しいけど!先輩に送ってもらうのはすごく嬉しいけど!


いまは気まずすぎる!……わたしだけが、だけども。


「なに言ってる。いくら自転車でも危ない。ほらっ、自転車貸して」


そう言って強引にわたしの手から自転車を奪ってしまった。

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