第16話

兄貴はチラリ、俺に目線だけ向けて、それから直ぐに由希先輩を


───これ以上ないくらい優しげに愛しそうに見つめて、その頭を何度も撫でる。


「…そろそろ打ち上げに行くかって。いつもの場所だから由希も来るだろ?」


もう俺なんて眼中にない二人。


俺はそっと、まるで空気のようにその場を離れる。




俺の想いが、叶うことなんて、ない。




わかってるのに。

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