第23章

第31話

「…副社長…雪見副社長…」


「…ッ!北斗…!!」


下の名前を呼ばれ、俺は正気に戻った。


「どうしたの?今日は、ずっと上の空だし」


声を掛けてくれたのは、大樹だった。


「大樹、お前なぁ〜!!朝っぱらから、艶めかしいラブシーンなんか見せるなよ…!!」


「えっ…!?」


大樹の顔が一瞬にして、真っ赤に染まっていった。


「ごめん…」


シュンとなる友人の姿が何だか、可愛い…。


…じゃなくて!!


「そんな強刺激なモノを見たせいで、その後、名月さんにもぶつかるし…好きだって…言われたし…」


北斗の語尾が、照れで次第に弱くなる…。


「…は?」


大樹が、口をあんぐりとさせていた。


『前半は僕達のせいって、言うのは理解できるけど…そこから、何で「好き」の単語が出るんだろう…?北斗は、本当に面白い』


大樹は、静かに笑いながら、俺を見ていた。


「何?」


「いや…好きって言われたから、今、悶々としてたのかなって…北斗の方こそ、思春期の男子みたいだね」


「なっ…!?」


図星だった…。


「暫く考えてみなよ?きっと、答えは見えてくるよ」


悔しいけれど、大樹の言う通りにしてみようと思った俺だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る