第8章

第10話

「遅くなってしまい申し訳ありません」


扉が開くのと同時に、大樹と北斗が姿を現した。


「いいえ、私は大丈夫です」


「こちらが研修のスケジュールです」


研修の資料が手渡された。


一ヶ月間、予定がビッシリと書かれている。


「…あの、まずはどんな事から覚えれば良いですか?」


「社内の人間の名前と顔は勿論ですが、りんごの品種や特徴も覚えて頂きたいです…とは言っても、いきなりは難しいので、社内の資料室を使って下さいね」


「はい。分かりました」


「そろそろ、案内係兼研修担当の者が来ると思いますので、私達からの説明は、以上になりますが…」


そう言っていた矢先、扉のノック音が聞こえた。


「失礼致します。」


扉が開かれた瞬間、ふわっと可愛らしい雰囲気を纏った女性が一人、入ってきた。


「私、Jewel Apple総務部の名月なつき 未希みきと申します。本日から一ヶ月間、宜しくお願い致します。」


穏やかな微笑みを浮かべた彼女は、りんごの妖精の様でした…。

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