第7章

第9話

「ピピピッ…!!」


太陽の日差しがカーテンの隙間から差し込む中、目覚ましのアラームが鳴った。


「う〜ん…もうちょっと…」 


じゃない!!


今日から私は、「Jewel Apple」の社員。


「美味しいりんご飴を一つでも多く食べて貰える様に頑張るんだから…!!」


りんごは、テキパキと支度をして自宅を出た。


『今日は、新人研修初日。社員の皆さんの顔と名前、オフィス内の事を覚えないと』


「秋映さん、おはようございます。出勤の前日は、ゆっくり休めましたか?」


紅林社長の声だ。


「社長、おはようございます…!!

はい!初めが肝心なので、前日は、ゆっくりしていました」


大樹の隣に目をやると、副社長の雪見 北斗の姿があった。


夜色の髪と涼しげなキリッとした目元が印象的だ。


紅林社長が柔らかな陽だまりのプリンスだとしたら、雪見副社長は、夜に映える月のプリンスだろう。


「秋映さん、初めまして。副社長の雪見 北斗と申します。宜しくお願い致します。それでは以前、面接をした応接室でお待ち下さい」


「はい」


私は、応接室で待機していた。




一方、大樹と北斗は、応接室に向かっていた。


北斗が「あの話」を持ちかけた。


「…もしかして、大樹が言ってた思い出の女の子って、秋映さんだったりする?」


大樹の肩がピクッと反応した。


「分かりやすいなぁ…相変わらずピュアな奴」


北斗は、やれやれと言う反応で友人の反応を楽しんでいた。


「…でも、今はまだ言わない。彼女は今、動き出したばかりだから…僕は、まず彼女を影ながら応援したい」


大樹の語る目は、真剣だった。


「はいはい、ピュア話、ご馳走様♡

この事は、秘密にするから」


北斗の言葉に、大樹は咳払いをした。


「さぁ、仕事ですよ。秋映さん、待たせてますし」


そんなピュアな話が繰り広げられていた事は、知らないりんごは、大人しく応接室で二人が来るのを待っていた。

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