第2章

第4話

「秋映さん、さっきの話ですが…うちで、働いてみませんか?」


「へっ…!?」


突然の彼からの打診に、思わず間抜けな声が…。


「答えは、今直ぐじゃなくても良いので、よく考えて下さい」


私に答えを急かさないでくれる紅林さん…その温かな優しさは、昔と変わっていない…。


『やっぱり…好き…』


そう思っていると、出来立てのりんご飴が彼から差し出された。


「今日は、疲れてここに来ているのですから、ゆっくり休んでいって下さいね」


彼の笑顔と優しさが私の心を癒していく…。


「はい…」


『どうしよう…。りんご飴を食べる前に、私の心が熱く溶けてしまいそう…』


そう思いつつ、りんご飴をひと齧り…。


「…美味しい…」


思い出の初恋の味が刹那、蘇る。


その顔は、恋する乙女の表情…。


『今はまだ、伝えられなくても…きっと伝える…』


まだ、彼に再会出来たばかりなのだから…。


ゆっくり、その幸せを噛み締める…甘いりんご飴の様に…。

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