第31話
ひとり取り残された部屋で、小鳥はベッドに座り込んだ。
部屋にはかわいらしい人形や、アンティークの家具がずらりと並んでいる。
部屋の中で一日中過ごしても飽きないようにと、すべて恋人が用意してくれたものだ。中には百を越える値段の宝石類もあるらしい。
小鳥はいらないと訴えたが、せめて出来ることをと言ってくれた優しさを受け取る事にしたのだ。
窓の外を見ると、千年桜が風に吹かれゆらゆらと揺れていた。
おもわず外の空気が吸いたくなり、窓を開ける。
ふわり--------------
秋風が小鳥の長い髪をたなびかせる。
少し冷ややかさを孕んだそれは、屋敷から出ることの出来ない小鳥にとってはとても心地が良かった。
千年桜の向こうには、遠い空があった。
街の灯りがきらきらと宵闇を照らす。
この屋敷に住んで3年ほど経った。
自分も昔はあの空の下、普通の生活をおくっていた。
大学に通い、アルバイトをして。
そんな中恋人と出会い、生涯愛していたいと思っていた。きっと相手も同じように思ってくれていたと思う。
互いに求めるように触れ合った。
そんな時だった。
ベッドの上で小鳥は痙攣を起こし、瞬く間に全身に蛇が纏わり付いたような痣ができた。
そして吐血し、意識不明で病院へと運ばれたのだ。
一命は取り留めたが、それからというもの小鳥は外に出る事は出来なくなった。
いつ発作が起きるか分からないからだ。
そして、この発作はどの医者にかかっても治す事は出来なかった。
何故ならそれは病ではなく.
'呪い'だから-----------
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