第24話

数日も経たないうちに、御影了の噂は瞬く間に学校中に広がり、そのイケメンぶりに他の学年からも女子生徒が偵察に来るほどだった。



「ねぇねぇ御影くん、LINE教えて!」



「俺、LINEとかしねぇんだ」



断られた女子に入れ替わるようにしてまた別の女子がすかさず声をかける。



「じゃあ、放課後カラオケ行かない?御影くん歌うまそう!」



「歌、嫌いなんだよ」



昼休み、1人、また1人と脱落していく様を見ながら、お弁当をつつくわたし。どうしてそうまでして誘うのだろうと不思議に思いながら箸を進める。



「あーあ。またダメだったか」 



愛里はどこか面白そうにそれを見物していた。



「愛里、やめなよ」


「だってー、あそこまで有無も言わさず撃沈だと逆に面白くない?」


「不謹慎」


わたしのお叱りに愛里は「ひひっ」と笑うとこんなことを言ってみせた。



「でも…」


「でも?」








「あの瞳に捕らえられたら逃げられないだろうなー」










そう----------






彼の瞳に捕まれば…




もう、逃げる事は出来なかった--------




図書室での一件を思い出しながらぼんやりとしていると今度はこんな声が聞こえてきた。




「いいよなぁーイケメンさんは。何もしなくても女が寄ってきて」




クラスの男子はそんな彼に、羨ましさ半分憎たらしさ半分らしい。

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