第17話
そうだった…一瞬、人様のキス現場を目撃してしまったという衝撃で抜けていたけど、右足が痛んでいるんだった。
どうしよう…。
「だれ?アンタ?」
低く唸るような声色に思わず身がすくむ。
「今の見てたよな?」
男がわたしに問いかける。
顔を上げると男は少し口元を上げ、馬鹿にでもするかのような嫌な笑みを浮かべている。
「どこから聞いてた?」
よく見ると、男は年齢もわたしと同じくらい。背が高いから大人びて見えるけど。
でも、その男の持つ鋭い刃物のような空気感に何だか得体の知れない危機感を感じ、思わず座ったまま後退りする。
「いえ、何も!」
この男は危険だ--------
わたしの中の何かが感じる。
そんな感情に突き動かされる。
「何か話していたみたいだけど、雨や雷の音で全然聞こえなかったし」
だけど、男は構わずゆっくりとこちらに歩みを進めてきて。わたしは襲われるのではないかと声を上げた。
「…来ないで!」
「いやだね」
男は一歩一歩と近づいてくる。
それにつれて、足の痛みも激しくなり…
わたしは逃げる事も儘ならず、とうとう図書室の壁際まで追い詰められてしまった。
「何する気…?」
男はわたしの目の前でスッと屈むと、舐めるような目つきでわたしの姿を捉えた。
そこで、フッと笑うと----------
左手でそっとわたしの足に触れる。
「いや!やめて!!」
わたしは男を突き飛ばそうと両手を前に出すも、男のもう一方の手に呆気なく捕まりどうする事も出来ない。
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