第2話

数日後やっと有給が取れたしかも1週間分。

何処か旅行でも行こうか?買い物へ行こうか?

考えているだけでものすごくワクワクする

でもあさひを置いていくのは少し可哀想

いや途中で充電切れた方が可哀想か。

「マスター、オヤスミ モラエタンデスカ?」

あさひに話すとあさひの方が嬉しそうだった

「うん、1週間。せっかくの休みだし

旅行行こうかなって 本当はあさひも

連れていきたいんだけど 充電切れたら困るからお留守番しててね」少し遠いけどいい旅館

見つけたしあさひから許可をもらい

次の日電車に乗って旅館へ向かった

温泉も気持ちいいしご飯も美味しいし

景色もいいし でもやっぱり眠ると同じ夢を見て

癒されたはずなのに 来た時とあまり

変わっていない気がした。

2泊3日の旅行から帰ると家が驚くほど静か

だった「ただいま」声をかけても反応がない

中に入ると あさひが私の布団にくるまっていた

「あさひ、どうしたの?」私が声をかけると

少し声のトーンが下がっていた

「……マスター、オカエリナサイ」

何かあったか?と心配すると

「マスター、イナクテ サビシカッタ」

そう言って私を抱きしめる姿は本当に

寂しかったように見える。

「寂しくさせてごめんね、お留守番してくれてありがとう」そう言って頭を撫でる。

見た目は大人の男性の姿なのに中身はまるで

子供のよう まぁロボットに年齢なんて

ないのかもしれないけれど。

「買い物とか旅行とか 観光とか そういうのは

すぐ充電切れるかもしれないから 一緒に

行けないけど 散歩ぐらいなら行けるよ」

あんな広いところ行ったら多分充電の消費量がエグイと思うし。「……ヒト、ニナリタイ」

あさひが何か言った気がして 聞き返したが

「マスター、ヤクソクデスカラネ」

といつも通りの笑顔で言った。

「約束。と言っても散歩なら今からでも

行けるけど 行く?」

あさひはものすごく嬉しそうな顔をした

「行くなら用意して、ついでに足りないもの

買ってこよっか」

そう言ってあさひと外へ出たのは言いけれど

通りすがる人みんな2度見していた

多分あさひが高身長だしイケメンだから

見てるのだろうけど 視線がものすごく怖い

私を見てないとわかってても 思い出して

怖くなる。

「マスター、ダイジョウブデスカ?」

私の異変に気づいたのだろう でも私は それを

隠そうと「大丈夫だよ、それより何

買うんだっけ?」と話を逸らした。

ここで怖いと言ったら負けな気がした

呼吸が苦しくなる まだ引きずっている自分が

恥ずかしい でも怖い まるで闇に飲み込まれそう

な感覚に陥る「マスター、キョウノヨルゴハンドウシマショウカ?」明るく喋りかけながら

私の手を握ってくれる あさひ

目をつぶる さっきまでの闇が夜だとしたら

朝日の明るさに負けて渋々交代したかのようだ

「そうだなぁ、あさひのご飯ならなんでも

いいよ」不思議とさっきまで気になっていた

視線があさひのおかげでもう

気にならなくなった。

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